「行脚」とは、修行のために僧侶が各地を歩いて旅をすること。「世界」とは、仏教ではグローバルの意ではなく、人それぞれが持っている世界観のことを意味します。
私たちが見て、聞いて、触って、思える「世界」とは決して一つではありません。誰もが大なり小なり、思想・宗教・文化と呼ばれるものを持っていて、星と星が重力で引かれ合うように、他者と影響を与え合いながら、自分の世界を揺らして生きています。
仏教という2500年の年月を越えて、今私たちの傍にあるものも、そんな”他者”の一つです。
私たちはまだ何も世界のことを知りません。「行脚、世界。」に込めたのは、そんな自他の境界線を行ったり来たりしながら、”世界の揺らぎ”を楽しんでいく姿です。
創刊13年目を迎える『フリースタイルな僧侶たち』とともに、不要不急の行脚の旅へお参りいただければ幸いです。
2024年8月10日、フリースタイルな僧侶たちは刊行15周年を迎えます。
「謝」の一字に込めたものは、感謝・謝罪・代謝。ならびに、仏教における供養や懺悔などの言葉です。「ありがとう」が少し息苦しくなってきた現代において、いま一度さまざまな「謝」を重ねながら、「ありがとう」を解きほぐしてみたいと思います。
フリースタイルな僧侶たちが歩んできた15年や、その仏教と編集の営みを振り返りながら、ともに感謝を分かち合う一冊ができました。
vol.63