『Smells Like 仏 Spirit』僧による仏プレイリスト「MUSIC 僧 ON」1st

みなさん、音楽は好きですか?

今月から、フリースタイルな僧侶たちが、普段とは異なる音楽体験を提供したいと思います!

その名も……

僧による今を生きるための仏プレイリスト『MUSIC 僧 ON』です!

毎月、現代を生きる僧侶・仏教好きがオススメの音楽を紹介するこのコーナー。
楽曲やコラムから、僧侶ならではの音楽の聴き方や、音楽に滲み出た仏教のエッセンスを感じ取っていただけるはず!

今回は、11人の若手僧侶に、音楽を通して仏教を感じる1曲を選んでもらい、プレイリストを作成しました!
その名も「Smells Like 仏 Spirit」です。

それでは、音楽とともに Let's ニルヴァーナ!

申し遅れましたが、本日のDJは大学生僧侶、いっこくんで進めて参ります。

1st プレイリスト「Smells Like 仏 Spirit」

※フルで聴きたい方は、無料なので、音楽ストリーミングサービス「Spotify」に登録してみてください。登録はコチラからできますよ!

 

01『アイアム主人公』‐ 中村佳穂

稲田ズイキ(26歳、僧侶)

俺だって主人公なのである。

海賊でも忍者でもなんでもない。冒険にもいかないし、ヒロインを救出にもいかない。
毎日120円のコンビニのパンを食ってばっかの俺も主人公なのだと疑いたくないのである。

この『アイアム主人公』がいいのは、聴くだけで自分がこの人生の主人公だと思い出させてくれるからだ。

「努力で人生を変えようぜ!」な〜んていう気もないけど

こんな冷めた歌い出しのフレーズは、どうしようもない俺のことがよくわかってる。
欲しいのは、決してそういう気休めではないのだ。

思わず心が動いてしまうのは、サビのこのフレーズ。

アイアム主人公 オンリーでイカしているぜ

そう何度も唱えてくれる。

主人公とは決して、海賊でも忍者でもスーパーサイヤ人でもない。
悲しいこともある。辛いこともある。そんな思い通りにならないこの無常な世界で、事実として存在し続ける「自分」のことなのだ。

完璧じゃないストーリーがスイーティーなストーリーになる

この救いのパンチラインに「この世は美しい。人の命は甘美なものだ」と語った釈尊のイズムを感じながら、サビに合わせて「アイアム主人公♪」と唱えるのがいつものルーティン。もはやお経。

今日もやっぱりコンビニのパンはうまい。

 

02『暴れだす』- ウルフルズ

浜ちゃん(23歳、僧侶)

自分がちょっと悩んでるときに「この曲いいぞ」って紹介してくれる人いるじゃないですか。

僕、ああやって聞かされる曲あんまり好きにならないんだけど……この曲聞いたときは暴れたくなって友達と騒いだ。楽しかった。

あぁ 神様オレは 何様ですか

曲の冒頭のこの歌詞、これはまず神様を仏様に置き換えてほしい。いやそこじゃねぇよ。この歌詞は

ナニサマかの自問がオレサマを苦しめているサマ

である。結局自分を苦しめてるのは自分だった。

それに気が付いた時、いろんな悩みで苦しんでいる周りの人たちの姿が、自分が苦しんでいるのと同じように思えた。

あぁ 胸が 暴れだす

このサビの歌詞超気持ちいいからぜひみんな一緒に叫ぼう。泣きながら、笑いながら、クシャクシャの顔で、真面目な顔で。

これから称えていくお念仏にもこのくらいの気持ちを込められる僧侶になりたい。法要中に感情が爆発したら止めてくれ住職。

台風の日に外に出た。薄着で鴨川に飛び込んだ。「危ねぇぞ!」って忠告ありがとうございます。

でもちょっとだけ暴れてみるとスッキリすることがある。もちろん人には迷惑かけない範囲に限るけど。

感受性スロットルは全開だ。さぁ次はどんな暴れ方をしてやろうか。

 

03『いいねパラサイト』‐ ReVision of Sence

勝野光栄(28歳、僧侶)

SNS疲れという言葉が少し前に話題になりました。TwitterやInstagramにFacebook。
ネット上の様々な場所で私達の投稿が数字で評価される社会へ変化。

皆さんもSNSで「いいね」を稼ぐために策を講じた事が一度はあるのではないでしょうか?
「キラキラしたい」「私は特別」など、欲求に囚われSNSにハマった人がトラブルを起こす事も少なくありません。

自分の精神をすり減らし、でも結局やる事は皆同じで個性が薄れていく人々へ警鐘を鳴らすのがこの曲です。

SNSで人を評価する風潮に否を唱える言葉の数々。
SNSの中に本当の価値はない。今この社会で何をできるか? それが大事なことだと説きます。

仏教に「犀の角」という教えがあります。この中でお釈迦様は、

「大きな音に"動じない"獅子の様に、網に"捕らわれる事のない"風のように、泥に"汚れない"蓮の花のように、犀の角のように、ただ独り進め。」

という3つの生き方を説かれます。

平常心、執着しない心、清らかな心。
この3つの心を持ち続ければ、悩み悔やむこともなく、より良く生きることができるという教えです。

流行りや周りの意見に流されず、自分にできることを考え行動する

たとえそれが周りからダサいと言われても、彼らは「ダサい君がいいね!」と歌の最後に背中を押してくれます。

気づきを与えてくれるこの歌、聴いてみませんか?

 

04『釈迦の手のひら』‐ SUKISHA

Gyoshin(27歳、僧侶)

心地よいサウンドからタイトルから想像も付かない冒頭の歌詞。

子供の頃に開始数分で心を掴まれて引き込まれた映画のように、入り込んでしまった。

誰もが日々にいきどおりや不安が付き纏う。
何をやったって、どこに行ったって
本当にこれでいいのだと言い切れる事なんてどんどん減っていく毎日。

不安を取り除く手立てが見つからないよ

切ないけど、答えがないかもしれない。

でもそこにたどり着いてからじゃなきゃ決めれない覚悟。この覚悟をこの曲を聴いて感じる。
こんな俺にも寄り添ってくれる音。

誰かの手のひらの上で踊るのなんてまっぴらごめんだけど、この曲の上でなら喜んで踊りたい。

 

05『Can I Get An Amen』- ルポール

ー頬コケ美(25歳、僧侶)

知ってますか、ルポールって?

アメリカのドラァグクイーンです。
司会をやってるルポールのドラァグレースって番組があって、最近そればっかり観てます。それかハロプロのMV。

90年代からスターで、今58歳。元は竹中直人系のおじさんなのに女装はバチバチに綺麗で賢い自信満々の魔女って感じで、無敵なんですよ。

出している曲は、踊れる曲が多いのですが表題は優しい曲。アーメンって入っているのでキリスト教的なのかな……。

-If you can't love yourself
How in the hell you gonna love somebody else?
(自分を愛せないのなら、どうやって他人を愛せるのでしょう?)

これは自分を愛せない人が他人を愛してはいけない、ではなく、
皆愛し愛される資格がある、ありのままの自分を、まるごと愛してくれる人がいるよ、ということだ思います。

若い頃、見た目やセクシャリティで偏見を受けたルポールですが、それらは彼を輝かせたものになりました。

自分の大切な物は手放さなくていい、私は私のままでいいというメッセージだと思います。

ドラァグレースは最高ですよ。見始めてからめちゃくちゃ化粧濃くなったけど良いんです、好きなので!

 

06『最高の人生』- The mirraz

いっこくん(21歳、僧侶)

最高の人生とはなんだろう。金持ちで不自由ない生活、異性からモテモテ……
人それぞれですが、常に"最高"を求めようとするのが人間です。

友達、家族、恋人、ご近所……
もし、誰とでもわかり合えるとしたら、最高じゃないですか。

しかし現実はそういきませんよね。
上司はウザいし友達とケンカすることも。恋人の気持ちが全部わかるわけじゃない。
そんなことに怒ったり悲しんだり……。

「わかり合えない」とわかり合えたら

人はどうしても自分が正しく、相手が間違っていると感じてしまうもの。
「わからせよう」という自分が相手を、自分を苦しめるのです。自分の欲を捨てろというわけではありません。

ただ、「わかり合えない」自分が、そして相手がいるのだと知っていれば、相手に自然と頭が下がりませんか?

仏教に「諸仏」という言葉があります。
様々な仏さまという意味ですが、それは「わたし」の周りの人びとすべてが、仏さまなのだと呼びかけられているんです。
また、過去の苦しみも悲しみも、すべて仏さま。

自分の生きる道を示してくれたものとして受け止められれば、それは本当の“最高の人生”かもしれませんね。

 

07『Made In China』-  Higher Brothers x Famous Dex

釈唯真(32歳、僧侶)

「Made In China」は中国成都出身のHIPHOPグループHigher Brothersによる楽曲です。(USのラッパーFamous Dexも客演で参加)
中国語のラップがかっこいい!

曲のテーマはズバリ、『アレもコレも全部メイドインチャイナ』。ユーモアがあって聴いてて楽しいです。

そんな”メイドインチャイナ”。
日本の仏教界にもたくさんあります。たとえばお経や論書。
日本のお坊さん達は漢訳仏典を和訳し直すことなく、そのまま用いました。

そうした中で、浄土真宗の宗祖親鸞聖人は漢訳仏典を大切に頂きながらも、同時に大胆な試みを行った僧侶の一人です。

それは何かというと、漢文の読み替えです。
経論の読み方を替えることで仏典から「凡夫の救い」を浮かび上がらせました。

これには仏典が外国語で書かれていたことも大きく関係しているでしょう。

仏典が和訳されていた場合、読み替えをするのはなかなか難しかったかもしれません。

鎌倉期の日本に浄土真宗が「出現」した背景には、仏典が”メイドインチャイナ”であったことも関係しているのかも、しれませんね。

 

08『Hansha』‐Oceans Ate Alaska

ームラッド(21歳、僧侶)

イギリスのプログレッシブなこのメタルバンド。
超絶ドラミングに硬質なギターとベースがピッタリとユニゾンし、琴の音色を入れ和を出そうとしたが全く聴こえなかったこの一曲。

一貫して歌詞は、「私たちは、この世界に囚われている」ということをメインに描かれている。その歌詞を一部抜粋し要約すると、

拘束された現実が私たちが生きることを狂わせる。君の世界からそれらが無くなるのを見よ、苦悩や固執がなくなるのを。
幸せというのは表面的な言葉に大きく依存し、自分で測った自分の価値は不安を与える。

である。

「幸せというのは表面的な言葉に大きく依存し、不安を与える」とは、私たち凡夫が楽しいと感じるものは、無半敗壊と言われ、実はその楽だと感じることは永遠と続くことはない苦しみに一変することがある。

私たちはそのような世界に身を投じているため、拘束された現実が私たちが生きることを狂わせると表現されてるのでないか。

人は知らないものに対し恐怖を覚え偏見で物の良し悪しを図るが、メタルはうるさい、軽薄だと思わず、一度物は試しで聴いてみてはいかがだろうか。

 

09『つじつま合わせに生まれた僕等』‐ amazarashi

毬藻(23歳、僧侶)

このバンドの曲はとにかく歌詞が現実的です。

誰もが転がる石なのに 皆が特別だと思うから 選ばれなかった少年は ナイフを握り締めて立ってた

前半で「石ころ」のような人間は誰しも理想があることを、後半は理想とのギャップに憤りや不満を覚え、それを表出させている様子を歌っています。

僕の理想はスーパー美人な嫁と大金を手に入れ悠々自適に暮らすことです。……憤りを感じます。

さて、理想においての原因はいつも自分にあります。
それは理想を望むのが自分だからです。しかしそうした理想への欲望は人間から離れることはありません。

東本願寺の標語に「バラバラでいっしょ」とあります。人間みなバラバラで理想もバラバラです。でもそうした現実はみな同じですよね。

自分の理想が叶わないことが辛いように、他の誰かもそうだと考えると、少しだけ楽になりませんか?
このように自己の現実を教えてくれるのが仏教の言葉で、それを受けているこの標語はとても大切に掲げられています。

「つじつま合わせに生まれた」ような私たちへも、きちんと意味のある言葉が向けられていることが伝われば幸いです。

 

10『幸せ』‐ SHE'S

藤本諒(22歳、僧侶)

SHE'Sは、僕が大学のサークルでキーボードでバンドを組みたいと思っていた時に出会った、キーボードボーカルという少し珍しいバンドです。

その中でこの『幸せ』という曲は、ありふれた当たり前の幸せのことを書いた歌詞です。
大切な人と日常の生活を当たり前に過ごすことがどれだけ幸せか、メロディーやバンドのサウンドも相まってすごく泣けます。

たしかに今の生活に満足できなかったりすることはあるし、友達や家族に対して腹が立ってしまうこともあります。それは人なら誰でもあるでしょう。
しかし「当たり前」に、自分が今幸せではないと本当に言えるんでしょうか?

私たちは日々を過ごしているうちに本来毎日変化しているはずなのに、当たり前になってしまいがちです。
そして、もっともっとと満たされなくなる心になっていくのです。

そうではなく、あらゆることに感謝の気持ちを持つことで、自分自身だけでなく他者への幸せにもつながっていくのだと思います。

 

11『Yes I am』‐ ONE OK ROCK

ー藤田惠日(21歳、僧侶)

ONE OK ROCKは国内外で活躍している日本のロックバンドです。
普段ロックをあまり聴かない人たちも、1回は耳にしたことがあるバンドだと思います。

ONE OK ROCKの楽曲は激しいアップテンポの曲が多い、カッコいいという印象が持たれがちですが、この曲「Yes I am」はポジティブな歌詞が印象的な曲です。

世界の誰よりも輝ける
そう信じて生きてきたのは確かなんだ
でも世界の誰もが輝ける
そう信じてこれから生きていけたら
どれだけ素敵なんだろう?

この曲を初めて聴いた時、この冒頭の歌詞がスーッと頭の中に入ってきました。

仏教(真宗)の教えの中に、「自力作善」という言葉があります。
自力作善の人とは、自分でなんとかしたらなんとかなると思っている人のことを言います。

「自分でなんとかしたらなんとかなる」と、自分の可能性ばかりを信じ、自分一人だけが1番になって輝く人生より、世界の誰もが、みんなが輝けることを願って生きていく人生の方が素敵なんじゃないかなと思います。

自分のためだけではなく、人のために生きる。

ということを伝えたかったのではないかと私は思いました。

でもなんで今日も僕らはみな自分が
一番可愛いんだろ?

私たち人間は、やはり自分が一番可愛く、自分優先で動きたくなる生き物です。
しかし、それを自分に問い、認めた上でどう行動していくのかが重要なことだと思います。

 

MUSIC 僧 ON いかがでしたか?

僧侶がいつもどのように音楽を聴いているのか。メロディーや歌詞からどう仏教を感じているのか。
今回のプレイリストで、少しでも体感いただけましたら嬉しいです。

この11人は全員が若手の僧侶。私たち僧侶も迷い苦しみながら、毎日を過ごしています。
そんなとき、耳に入った音楽が、フッと体を軽くしてくれることがあるのです。

自分を見つめなおす「気づき」は何気ないところに見つかるのかもしれません。
もしかしたら、みなさんが普段聴いている音楽にも、今を生きるヒントが……。
ぜひこれを機に探してみてください!

さて、「MUSIC 僧 ON」では、皆さまからのオススメ曲を募集しております!
「僧 ON」なんて言っていますが、仏教に興味のある方なら、僧、非僧問わず大募集です!

次回のプレイリストのテーマは、

「コレもはやお経じゃね?」ってくらい日々繰り返し唱えたくなる一曲。

掲載希望の方は、DJ(編集担当)の僕まで、曲名とコラムをお送りください!

  • 選曲条件:Spotifyにて配信されている楽曲に限定します
  • 文字数:500文字程度
  • 掲載条件:Web編集部がゆる〜く判断します。(ガチガチの法話コラムである必要はありません)
  • 締切:12月31日まで
  • 宛先: いっこくん 3kou2kou1koukun@gmail.com

それではまた次回をお楽しみに!!

今回のプレイリスト 1st「Smells Like 仏 Spirit」です。
プレイリストをフォローして、毎日リピートしちゃってください!

 

  • 編集:いっこくん(大学生僧侶。浄土論が好きで根性論が嫌い。)
  • 企画・監修:稲田ズイキ(Web編集長。口癖は「ブッダじゃん」。)
  • ジャケット制作:もえこ