vol.62 金

vol.62

特集「本気で地獄」発行しました vol.58

フリーペーパー『フリースタイルな僧侶たち』がリニューアル宣言したのは昨年2020年9月のこと。
新しい編集メンバーを加え、新たな紙面のコンセプト「行脚、世界。」を立てて活動しています。

(リニューアルの概要はこちらをご確認ください)

さて、ついにリニューアル創刊号となる58号が完成しました。新型コロナウイルスの影響で大人数で集まることができず、発送作業に時間がかかってしまい、大変申し訳ございませんでした。

予告通り、リニューアル創刊号の特集は「地獄」です。その見所を説明していきます。

58号「本気で地獄」の目次

  • 令和版地獄絵図(表紙)
  • 地獄インタビュー みうらじゅん「最近、地獄ブームきてませんか?」(P4-9)
  • #リアル八大地獄を考える(P10-11)
  • SNSと地獄(P12-13)
  • 芸人と地獄 鈴木ジェロニモ(コガラシガーナ)(P14-15)
  • 地獄談義 椋橋彩香(地獄寺研究家)(P16-19)
  • 連載 How are you? So-僧(P20 )
  • 連載 フリースタイルな人たち 一人目:清水煩悩(ミュージシャン)(P21)
  • あとがき(P22)

地獄マニアであるみうらじゅんさんの巻頭ロングインタビューから始まり、地獄寺研究家の椋橋さんとの地獄クロストーク、
悩める若手僧侶による悲哀感あふれるSNS問答、芸人が語る地獄とはなにか、ミュージシャン清水煩悩さんに地獄をテーマに短歌と楽曲を制作してもらうなど、この世の多元な地獄を封じ込めた一冊になりました。

また、表紙には100件近く読者から投稿された「地獄だと感じた瞬間」が並びます。

リニューアル創刊号になった58号は、渾身の地獄尽くしです。

「本気で地獄」に込めた思い

地獄とは、日本では約1000年前に仏教を原典にして広まった世界観の一つ。
それを発端に、地獄絵図や地獄草紙など、様々な文化にまたがって日本全国に広く浸透するようになりました。

今回の特集は、そんな「地獄」が、今を生きる人々によって新しく見出されているのではないか? という仮説から始めた企画です。

「マジで地獄だ」
 「地獄のような○○だった」

昨今の社会情勢もあってか、メディアや作品、SNS、日常的な会話で「地獄」という言葉を耳にする機会が増えたように思います。

今、1000年の時を超えて「地獄」という言葉を選ぶ私たちの心には何が映っているのでしょうか? 
そこに私たち自身の感じる「地獄」のような現実と上手く付き合っていくヒントがあるのではないでしょうか?

そんな思いを込めて、仏教的な意味でいう地獄とともに、今を生きる人たちが感じるそれぞれの地獄を、この一冊のなかに封じ込めました。

人それぞれの地獄の有り様、つまり「隣りの地獄」を知ることは「自分の地獄」を知るための一歩になる。そう信じて、地獄のなかに極楽の世界が垣間見えるような一冊に仕上げたつもりです。

「よくわからんけど、バカバカしいなあ。」

そんな言葉とともに、あなたの地獄にいつまでも寄り添える一冊になれたら嬉しく思います。

前回の予告記事にて、投稿いただいた「地獄だと感じたこと」は表紙に記載し、恐山の地獄谷へ持っていき、僧侶が供養すると説明していたのですが、新型コロナウイルスが猛威を奮っているなか、今回の制作に関しては、長距離の移動は控えるという判断を下しました。

実行するか否かは今のところ未定ですが、その代替手段として「護摩焚きフリーペーパー」を実施し、配布することを考えています。詳しくは後日の発表をお待ち下さい。

58号「本気で地獄」の詳細

令和版地獄絵図(表紙)

「地獄」を感じたことを公募し、100名近く投稿いただいた地獄を掲載しています。地獄はスクリーンに映し出され、地獄の王である閻魔さまが名状しがたい顔でそれを眺めています。

イラスト:カワシマナオト

地獄インタビュー みうらじゅん「最近、地獄ブームきてませんか?」(P4-9)

地獄マニアであるみうらじゅんさんに、編集部が感じている昨今の地獄ブームの存在を伝えてみました。みうらさんの地獄にまつわる名言の数々は必見です。また「地獄入獄エントリーシート」と題して、地獄の裁判官を就活の面接官に見立てて、希望の地獄に堕ちるためのPRなどを書いてもらいました。

取材相手:みうらじゅん
1958年京都市生まれ。肩書きは「イラストレーターなど」。武蔵野美術大学在学中に漫画家デビュー。1997年「マイブーム」で新語・流行語大賞、第52回仏教伝道協会文化賞沼田奨励賞受賞。著書に『アイデン&ティティ』『色即ぜねれいしょん』『マイ仏教』『「ない仕事」の作り方』『セックス・ドリンク・ロックンロール!』など多数。共著に『見仏記』シリーズ、『雑談藝』などがある。

取材・文:稲田ズイキ(編集部)
取材:福井裕孝(編集部)、岡シャニカマ(株式会社人間)

#リアル八大地獄を考える(P10-11)

仏教では、地獄とは八層構造になっていて、下にいくほどえげつない責め苦が用意されていると説かれています。100件近く集まった「地獄を感じたこと」を中心に、編集部がこの現代における八大地獄を提案してみました。

SNSと地獄(P12-13)

「現代の地獄はSNSにあるのではないか?」そんな憶測のもと、SNSの使い方に悩まされる若手僧侶がツイート形式の散文をしたためました。

文:秦正顕(編集部)

芸人と地獄 鈴木ジェロニモ(コガラシガーナ)(P14-15)

人力舎所属の若手芸人・コガラシガーナの鈴木ジェロニモさんに、一人の芸人として「地獄とはなにか 天国とはなにか」をエッセイの形で語ってもらいました。「お笑い芸人は地獄の住人」と語る鈴木さんの地獄論は必見です。

文:鈴木ジェロニモ(コガラシガーナ)
お笑い芸人。1994年栃木県さくら市生まれ。プロダクション人力舎所属。早稲田大学卒。2019年に短歌を始め、『ダヴィンチ』(KADOKAWA)などに作品が慶される。丸山智貴とのお笑いコンビ・コガラシガーナとして活動中。

撮影:星川浩介

地獄談義 椋橋彩香(地獄寺研究家)(P16-19)

仏教国タイに点在する、立体像を用いて地獄を表現している寺院、通称「地獄寺」。椋橋さんは地獄寺を研究している、日本で唯一の地獄寺研究家です。そんな地獄愛好家の椋橋さんと、編集長の稲田が「地獄談義」を行いました。

対談相手:椋橋彩香
1993年東京生まれ。早稲田大学大学院文学研究科にて美術史学を専攻、現代タイにおける仏教表現を研究テーマとする。2016年修士課程修了。現在、同研究科博士後期課程在籍。現代になり新出した立体表現「地獄寺」に着目し、フィールドワークをもとに研究を進めている。著書に『タイの地獄寺』(青弓社)。

対談・文:稲田ズイキ(編集部)
撮影:蘆月真成

連載 How are you? So-僧(P20 )

どこかの街の一角で僧侶を撮影するスナップ連載企画。今回は心斎橋のアメリカ村にてロリータファッションに身を包む女性三人組を偶然見かけ、僧侶の小林真法さんと一緒に撮影させてもらいました。

モデル:小林真法、心斎橋を歩いていた三人の女性
撮影:磯部亮太

連載 フリースタイルな人たち 一人目:清水煩悩(ミュージシャン)(P21)

フリースタイルな人たちはジャンルレスに活躍するクリエイターの方々に、お題をお渡しし作品を制作していただく連載企画。今回はミュージシャンの清水煩悩さんに「地獄」をテーマに、短歌とそれにちなんだ音源を作成してもらいました。

清水煩悩
1992年生まれ、和歌山県出身。2017年、1stアルバム「みちゅしまひかり」発表直後から「天才発見!」と世間を騒がせ、その後、坂本龍一、水曜日のカンパネラ・コムアイといった多くのアーティストから称賛を得た。2018年、2ndアルバム「ひろしゅえりょうこ」を発表。同作収録曲「シャラボンボン」のMVが、第23回文化庁メディア芸術祭を始め、国内外のコンペティションに入選。2020年夏、クラウドファンディングで得た資金によって、奈良県の天川村で11人の仲間と制作された3rdアルバム「IN,I’M PRAY SUN」が、私設レーベル〈Metropoloni子〉から発売決定。

 

※店舗や寺院にフリーマガジンを取りに行く際は、なるべく三密を避けてご移動くださいませ。

noteではマガジン制作の裏話などを発信しています。
フリースタイルな僧侶たちの公式note

フリースタイルな僧侶たちの活動にご興味を持ち、ご支援いただける方がいらっしゃいましたら、こちらからサポーター登録ができます。
活動を応援していただける方へ

引き続き、フリースタイルな僧侶たちを何卒よろしくお願いいたします。

<クレジット>
発行人:加賀俊裕
編集長:稲田ズイキ
編集:秦正顕
デザイン:福井裕孝
広報:ゆいま
WEB制作:磯部亮太
企画協力:旭七歩